「古典って、読んだら問題に答えないといけないやつでしょ?」
「ははは。確かに、古典は他人の作った問題とセットで見かけることが多いね。だけど、ここ 100 年くらい?じゃないかな。そういうのは」
「昔はそうじゃなかったの?」
「昔の人にとっては、古典も普通にただの本だっただろうね。そもそも古典じゃなかったとき(書かれたばかりのころ)だってあったわけで。だから、読みたいように読めばいいんだよ。普通の本と同じにね」
昔話として読んだ「こぶとりじいさん」。その話が、『宇治拾遺物語』(巻1-3)にある。 同じ昔話でも、「かぐや姫」や「浦島太郎」の物語などを古文で読むと、昔話として知っているものとは微妙に違っていたりする。しかし、『宇治拾遺物語』の「鬼に 瘤 ( こぶ ) 取らるる事」のストーリーは、昔話のものとほぼ同じだ…
読書する兼好の図|絵本徒然草 祐信画鑑 上(NDLデジタルコレクション)より加工して作成 『徒然草』は中学校でも習う作品で、序文や猫またの話(第 89 段)などが 2 年生の教科書に載っている。また、高校では 1 年生の教科書に、再び序文といくつかの章段が載っている。 だから、「何か昔やったよな」とい…
「虎の威を借る( 狐 ( きつね ) )」というタイトルで、高校の教科書によく載っている話がある。 だがこの話、出典の『戦国策』ではそんなタイトルは付いていない。また、「威を借る」という表現は本文中にも出てこない。 確かに、本文中の狐の行為は「威を借る」で問題は無い。しかし、あくまでも「威を借る」のは…